薬玉は1400年以上前からある幸運を招く飾り 無病息災、長寿を招くことを願って

薬玉は中国から伝わったといわれています。

所説ありますが、薬草を服薬用にまとめた玉、それに似せた飾りを魔除け、病除けなどのために飾ったのが始まりと言われています。

五月の子供の日を前後して、一部の神社などでは現在でも薬玉【病除け】を配布しているところもありますが、現在では、縁起物のインテリア・室内の装飾として使われたりするのが一般的です。

また、願いが達成した際に薬玉割を行う文化もあります。

特に一般的なものは、何といっても折り紙の薬玉です。しかし、和紙を使った薬玉はここ以外では、ほとんど存在していません。

和紙で薬玉を作ることの難しさ

図画工作用に使われるクラフト紙や一般的な折り紙は固く、立体的な構造を作るのに向いています。しかし、和紙は柔らかく立体物をそれだけで構成するのが難しくなります。そこで、その弱点を補うべく、こちらでは内側に硬い和紙の張り子を入れることで、和紙の薬玉を可能にしています。

この方法は、この薬玉工房のみの独自の方法です。

形の複雑さと和紙の美しい調和はここでしか見ることはできません。

ただし、二つの製法の異なる薬玉を一つに合わせることは、手仕事でしか実現できない物であり、完成までに手間も時間もかかります。

縁起物の薬玉は、一願を込めて一丸に

薬玉工房では、内側に和紙の張り子の薬玉【御玉】と外側に友禅和紙などを用いて、インテリアとしての薬玉を製作しています。

日本中の産地の異なる種類も異なる和紙を一つにして、今まで誰も作ってこなかったユニークな薬玉を作っています。

内側の張り子に似た構造を持つ薬玉を入れることで、外側に色とりどりの和紙で美しく仕上げた折り紙の形が保たれます。外側の折り紙の和紙は接着剤無しで組みあがっています。

どうしても美しい和紙で薬玉を作りたい!

日本の和紙は着物にも言えることですが、色柄の全く異なるものを一度に合わせても下品にならない。むしろ、あでやかで煌びやかになります。それは他の民族衣装にあまりない特徴だと思っています。

和紙は、職人の腕前がものを言うだけだなく、色合いのセンスも必要です。また、時代の流行も色や柄に反映された独特の輝きに満ちています。

和紙は本当に美しい!

日本各地の和紙を使い、一つの薬玉に仕立てています。

和紙で薬玉を作ることに挑戦する過程では、たくさんの和紙への理解が必要でした。

単に和紙が好きだからというだけでなく、和紙が存続し続けてほしいとも考えています。

和紙は一般的な紙に比べて高価で、その消費量は減少傾向にあります。しかし、次の時代にも和紙が作られるためには和紙を買う人が必要です。

できれば和紙の消費を支える一つの取り組みとして存在したいと考えています。

内側の和紙の張り子【御玉】には『ユネスコ無形文化遺産』に登録された「細川紙」が漉かれる工房のものを採用しています

薬玉工房の御玉の材料をどうして細川紙の生まれる工房のものを入手しているか?

その理由について説明しています。

周知の事実ではありますが、和紙は丈夫で長持ちするという大きな利点があります。環境が合えば、100年維持できるというのは当たり前で、日本にはもっと長い間記録を保持し続け、伝承されているものが沢山存在します。つまり、和紙を使用することで、薬玉の寿命も長くなると考えられます。

細川紙について

細川紙は、和紙の中でも丈夫さと滑らかさがあり、汎用性に優れる加工に適した紙だと考えています。そんな細川紙についてさらにご説明します。

日本には70か所以上の和紙の産地があるといわれています。その中でも、産地の規模や品質の良さにより際立った場所の一つが細川紙の産地だといえるでしょう。

細川紙は、埼玉県の北部に位置する槻川の上流に位置する(埼玉県東秩父村と小川町)の川沿いの家々によって作られてきました。この川の周辺は、紙の原料になる楮という植物の生育に適しているだけでなく、紙を作る上で必要不可欠な川の水質の良さや一年を通して恵まれた水量が供給されているなど、紙づくりに適した場所です。

江戸時代の紙の供給元として紙づくりが盛んだったこの地域は、現在でもその製法が伝えられてきています。1978年には、国の重要無形文化財に指定され、2014年にはその世界的な重要性から、ユネスコ無形文化遺産に指定されています。世界的な存在意義とは、世界中の芸術的価値の高い歴史的な作品の修復活動の中で和紙が使用されており、欧州などの文化的遺産の保全に不可欠だからです。和紙の消滅は、芸術・文化の消失と直結しているのかもれません。

細川紙を継承する地域では、伝統の継承や和紙職人の育成、環境の保存などの課題を抱えつつ、奮闘が続けられています。

和紙の持つ世界的な存在意義を踏まえ、槻川周辺地域や水質に影響を及ぼすさらに上流の山間部、水源などの保存が今後も重要となるでしょう。

前述の通り、細川紙はユネスコ無形文化遺産に登録された三紙(石川半紙・本美濃紙・細川紙)の一つです。日本の書道や日本画に不可欠なだけでなく、世界中の美術品の修復にも他に替えがきかない貴重な存在です。

そんな貴重な場所で作られた紙を、この薬玉の材料として使用しています。

下の写真が内側の薬玉【御玉】です。

和紙の存続には、和紙の消費が一番の後押しになると考えますし、また良質な紙を使うことは出来上がる薬玉の品質の向上にもつながると思っています。

これからも、細川紙を使用した薬玉を作っていきます。

薬玉は、あなたのそばで長く寄り添うハッピーアイテムになります

和紙は、その品質の高さから大切に扱えば長く美しい姿を保ち続けます。和紙を愛し、楽しみながら作られた薬玉は、あなたの生活に潤いを与えてくれるでしょう。日本古来の無病を願うインテリアとして、末永くお愉しみください。

取り扱いの注意

❶紙でできたインテリア小物であり、おもちゃではありません。取り扱いは慎重にしてください。圧力で潰れてしまいます。

❷和紙でできているために主原料が植物由来であり、湿気によって変質してしまいます。

❸和紙が植物性であるために、稀に虫に食べられてしまう場合がございます。

❹直射日光の当たる場所では、劣化が早くなります。

❺和紙のそれぞれの風合いを生かすために折り紙には防水が施されていません。濡れない場所での鑑賞をお願いします。

❻折り紙は、無理に外そうとしなければほどけません。ほどいたなら、元に戻せなくなる可能性があります。

この度は、このページにお立ち寄りいただき、ありがとうございます。

薬玉工房の薬玉を持つ皆様のご発展を願いつつ、楽しく作り続けることを心がけてゆきます。